世界大百科事典(旧版)内のLiebeの言及
【愛】より
…まして,文芸・絵画・彫刻・音楽などの芸術作品は,概念の網では決してすくうことのできない,愛の具体的な真実を,感性を通して訴えかけてくるのであるから,意味の抽出を急いではならない。 そこで,現代日本語としての〈愛〉の素性に目を向けると,この語は,本来の中国的な意義と,これと相いれぬインド仏教的な意義とを担って,上代の知識階級の語彙に加わったが,中世・近世を通じてむしろ卑俗な語感をもち,明治になると近代ヨーロッパ語の〈ラブlove〉〈リーベLiebe〉〈アムールamour〉の受皿として用いられ,〈おもい〉や〈恋〉の地位をおびやかすに至ったものである。ところが,西洋文化の源流を伝える,古典語とくにギリシア語では,サンスクリット語の場合と同じく,愛の観念を包括する単語が存在しなかった。…
※「Liebe」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」