世界大百科事典(旧版)内のmushā‘の言及
【地主】より
…もっとも,その発生過程,そこでの土地経営形態は,水資源の存在・管理形態,農業の集約度,商品作物の浸透度,中央権力のあり方,遊牧民社会の影響等々の自然・社会・経済・歴史的環境の違いによって,ともすれば一括して論じられることの多いアラブ地域内においても,相当な変異が見られた。 シリア,パレスティナ,イラク地方については,その多くの地域において,直接耕作者はムシャーmushā‘と呼ばれる,ある種の土地割替を伴う共同体的耕作慣行のもとで土地耕作にあたり,その上に,徴税請負権を中心とした地方有力者,遊牧民首長など,いわば領主階層の諸権利が重ね合わされていた。19世紀に入り商品作物栽培の普及,近代的土地所有観念の導入と相まって,特定の階層への土地集積現象が見られたが,その過程はおおむね,それまでの旧領主階層が近代的大地主として,共同体的慣行のもとで土地耕作にあたっていた直接耕作者をまるごと小作人あるいは農業労働者として再組織するという過程であった。…
※「mushā‘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」