日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミグマタイト」の意味・わかりやすい解説
ミグマタイト
みぐまたいと
migmatite
混成岩、融合岩ということもある。片麻(へんま)岩地域では、その中にある花崗(かこう)岩体の周縁部に、片麻岩の大小の岩塊が、浮遊しているような産状がしばしばみられる。このように、変成岩と火成岩とが互いに混ざり合い、混然とした状態になっているものをミグマタイトという。ミグマタイトは、変成岩の捕獲岩が花崗岩マグマに取り込まれたものとみることができる。一方、変成岩の片理や縞状(しまじょう)構造に平行に、花崗岩質の脈が注入し、縞状片麻岩または注入片麻岩といわれる状態になったものも、ミグマタイトの一つとされている。この場合には、花崗岩質の脈状部は、マグマとして外部から注入されたとも考えられ、また、それは変成岩の一部が溶融し、流動して脈状になったもので、外部からのマグマの注入ではないとも考えられ、昔から論争が絶えない。
ミグマタイトには、これらのほかにもいろいろな状態のものがあり、とくに変成岩と花崗岩の境界がはっきりせず、花崗岩マグマが変成岩を同化しつつあるとみえたり、あるいは変成岩が完全に溶融しきる一歩手前のものとみえたりする場合がある。
ミグマタイトは、造山帯の内部で、花崗岩に富む地域に多くみられ、とくに先カンブリア時代の楯状地(たてじょうち)にはミグマタイトが広く発達している。命名はギリシア語の混合物の意のmigmaによる。
[橋本光男]