世界大百科事典(旧版)内のnovelの言及
【イギリス文学】より
…能に触発されたイェーツの《鷹の井戸》(1916初演)が逆に横道万里雄によって新作能《鷹姫》(1967)として翻案されたのも,興味ある文化交流の一例である。アイルランド演劇【高橋 康也】
【小説】
〈小説〉とは散文の形式をとる架空・虚構の物語であるが,英語で〈ノベルnovel〉という時には,量的に1冊の本となる程度の長さを持つ長編小説であり,質的には〈ロマンスromance〉と対照的に現実性の強い物語を意味する。短編小説はこれと区別して〈ストーリーstory〉または〈テールtale〉と呼ばれるが,イギリスにおいて短編小説で真に世界的水準に達し得る作品が生まれたのは19世紀末になってからであった。…
【小説】より
…一方,アレゴリーは物語という形を利用しながら,実は何かの思想や観念など読者の知的興味に訴えるもので,ラブレーの《ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語》やスウィフトの《ガリバー旅行記》などがその典型である。ロマンスと小説を言葉の上ではっきり区別しているのが英語で,女性向きの恋愛物語や波瀾万丈の歴史物などが〈ロマンス〉と呼ばれる一方,狭い意味での小説は〈ノベルnovel〉と呼ばれるが,後者は中世イタリア語の〈ノベラnovella〉(〈ニュース〉と同語源で,〈ちまたの珍しい話〉の意)に由来する。 西欧小説の特徴は,虚構の物語と歴史物語や伝記的物語の区別がはっきりしていることのほかに,近代的合理主義的世界観の興隆にともなって小説とロマンスの分離を意識的にすすめたことで,小説史におけるセルバンテスの《ドン・キホーテ》の意義はそこにある。…
※「novel」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」