九条家文書(読み)くじょうけもんじょ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「九条家文書」の意味・わかりやすい解説

九条家文書
くじょうけもんじょ

五摂家(ごせっけ)の一つ九条家に伝来した文書群。所領関係が中心で、その数は3000点を大きく上回る。このうち皇嘉門院(こうかもんいん)仮名譲状(ゆずりじょう)、九条兼実(かねざね)譲状などは天理図書館(奈良県天理市)に架蔵され、他は宮内庁書陵部が、他の九条家本とともに一括購入し現蔵している。このうち古代・中世文書約3000点は『図書寮叢刊(そうかん) 九条家文書1~7』として公刊された。公家(くげ)領荘園(しょうえん)の構造、権門貴族九条家領総体の動きなどが知られる史料群。

田沼 睦]

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世界大百科事典(旧版)内の九条家文書の言及

【九条家】より

藤原氏北家の嫡流,五摂家の一つ。家号は始祖兼実の殿第に由来するが,また九条の坊名にちなんで陶化ともいう。平安時代後期に入って,摂政・関白と氏長者の地位は藤原道長の子孫御堂流の嫡流に定着したが,源頼朝は平家を討滅すると,平家と縁故の深い摂政近衛基通をしりぞけ,基通の叔父に当たる兼実を摂政,氏長者に推挙した。兼実はその後,土御門通親との権力争いに敗れて失脚したが,通親の没後,兼実の男良経が摂政となり,九条家の分立を確実にした。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」