仏物(読み)ぶつもつ

精選版 日本国語大辞典 「仏物」の意味・読み・例文・類語

ぶつ‐もつ【仏物】

〘名〙 仏に供養された、仏に所属するもの。仏寺奉納・寄進されたもの。仏寺の収納物、また重宝所領などをもいう。
今昔(1120頃か)一九「仏物などは欺用する事无かりけり」 〔十誦律‐六一〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の仏物の言及

【資財帳】より

…伽藍とは建物,縁起とは創立の由緒のことをいう。道具類はその使用目的によって,仏物(仏分ともいい,仏菩薩の供養に用いられるもの),法物(法分ともいい,箱,机,櫃など仏典保持,供養に使用されるもの),僧物(僧侶が生活するために用いたもの),通物(通分ともいうが,仏・法・僧3者共通して使用するもの)に大別して記載されている。もともと資財帳は奈良時代,国家によって仏教が保護されていたとき,諸寺に対して年々提出させていたもので,寺院の財産が悪僧によって消費されるのを防ぐためであった。…

【中世社会】より

… この寺院の集会によって一味同心の法として制定された法は,寺院集団の内部規範としてだけでなく,寺領荘園の法にまで及ぶが,仏の権威をかりつつ王法に対する別の次元の対等の効力をもつ法であると寺院勢力によって主張された。仏法のなかにいる僧侶,この界に存在するものは,俗界の人間のものではなく〈仏の物〉であるという論理のもとで,鎌倉時代いったん寺院に寄進した土地は〈仏物〉となり,寄進者は再びこれをとりもどして〈人物〉とすることができないという仏陀法など,この界特有の新しい法理を生みだしたのである。やがて鎌倉仏教の広布,その一向専修的傾向が強化されるなかで,この論理は信者集団,その所有する土地財産をふくめた世界にまで拡大していく。…

【祠堂銭】より

…そこに祠堂銭の特徴があった。一般に寺社が金融・貸付けする米銭は,神物あるいは仏物,寺物と呼ばれ,単なる米銭ではなく,〈神あるいは仏の物としての米銭〉として濃く宗教性を帯びていたので,その神や仏の力が債務者に返済義務厳守を強く促すものであった。中でも祠堂銭は,冥界の死者と結びついたものとして,その仏物的性格がより具体的に強められたものといえよう。…

※「仏物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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