最新 地学事典 「ζ値」の解説
ツェータち
ζ値
ζvalue
FT(フィッショントラック)法で用いられるパラメーターの一種で,ζ=BαI/λfで定義されたもの。ここでαは熱中性子による235Uの誘導核分裂に対する核反応断面積,Iは235U/238Uの原子数比,λfは238Uの自己核分裂壊変定数。Bはφ=Bρdで定義される較正定数で,φ,ρdはそれぞれ熱中性子束,線量計として用いるウランガラスに対する誘導フィッショントラック密度である。同様のパラメーターとしてZ値(ゼータ値)があり,Z=φαI/λfで定義され,A.J.Hurford et al.(1982)により提案された。FT法で年代を決定する場合に生じる,自発核分裂定数の未確定,照射孔の照射中性子のエネルギー分布の違い,またそれに基づく誘導核分裂反応断面積の変動,中性子束の測定に関する問題などを避ける方法の一つとして,年代標準試料を用いて各定数の積に相当するζ値ないしZ値を決定するものである。これらのパラメーターの採用により,FT法における年代数値としての信頼性が大幅に改善された。
執筆者:西村 進
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

