知恵蔵 「アジアの写真」の解説 アジアの写真 日本から一番近い地域であるにもかかわらず、これまではアメリカ、ヨーロッパの写真家たちについての情報は多く入ってきたが、アジアについてはほとんど目配りされてこなかった。だが1990年代以降、中国、韓国、台湾、インドなどの写真家たちの作品が紹介される機会も増えつつある。特に最近になって活躍が目立つのが中国と韓国の写真家たちである。中国の写真は80年代まではほとんどドキュメンタリーで占められていた。ところが90年代以降の急速な「資本主義化」に伴って、北京や上海の若手作家を中心に、意欲的な作品が発表されるようになる。コンピューターを使って絵巻物のような世界を展開するワン・キンソンや、男女のヌードで自然との融合を表現するロンロン&インリらの作品は海外の美術館で展示されて評価が高い。韓国のクー・ボンチャン、ベー・ビョンウ、キム・アッタらの高度な精神性を感じさせる仕事も、むしろアジア以外の地域にインパクトを与えつつある。 (飯沢耕太郎 写真評論家 / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by