改訂新版 世界大百科事典 「インテンデンシア」の意味・わかりやすい解説
インテンデンシア
intendencia
18世紀,スペイン・ブルボン王朝が行政改革の一つとして自国および植民地に導入した制度またはそれに基づく管轄地。フランス王制期のアンタンダンス(アンタンダン)にならったもの。カルロス3世は植民地行政の中央集権化,植民地官吏(コレヒドールなど)の職権乱用の防止と植民地からの収入増加を目的として,1764年にキューバ,84年にリマ,86年にヌエバ・エスパニャ(メキシコ)に設置。インテンデンシアを統轄する官吏はインテンデンテと呼ばれ,スペイン生れの者に限られた。インテンデンシアの数は多く,その領域もかなり広く,ヌエバ・エスパニャ副王領は12のインテンデンシアに分割された。インテンデンシアは〈パルティド〉と呼ばれる小区域に分割され,それぞれ地方官(スブデレガド)に統轄された。インテンデンテは管轄区内で行政,司法,財政,軍事にわたる広範な権限を与えられ,とくに財政面では大きな権限が付与された。インテンデンシアの設置により,従来の総督,コレヒドール,アルカルデ・マヨールなどの地方官職は廃された。
執筆者:染田 秀藤
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報