日本大百科全書(ニッポニカ) 「エラール」の意味・わかりやすい解説
エラール
えらーる
Érard
フランスの鍵盤(けんばん)楽器ハープの製作者一族。初代セバスティアンSébastien(1752―1831)は、クラブサンの製造技術を学んだのち、1777年にフランスのピアノの第一作を生み出し、翌年兄のジャン・バティストとともにエラール社を設立した。その後彼はピアノやハープの改良をさらに重ね、1811年には、1弦に対し三つの音を可能にしたダブル・アクション・ハープを、21年には今日のグランド・ピアノに使われているダブル・エスケープメント・アクションを完成させ、楽器製作史上大きな貢献を果たした。エラール社は20世紀に入ると衰退し、1960年にガボー社と合併、Gaveau-Érard,S.A.と改めて今日に至っている。
[川口明子]