オテルデュー(読み)オテルデュー(その他表記)l'Hotel Dieu

世界の観光地名がわかる事典 「オテルデュー」の解説

オテルデュー【オテルデュー】
l'Hotel Dieu

フランス東部、ブルゴーニュ地方の都市ボーヌ(Beaune)市街にある、1451年に建てられた施療院(市民病院)の建物。ボーヌ駅から約500mの場所にある。ブルゴーニュ公国の宰相ニコラ・ロランが創設したもので、貧しい人たちに無料で医療を施した施設である。その費用は、王侯貴族から寄進されたぶどう園とそこから生産されるワインでまかなわれていたといわれる。「オテルデュー」は「神の家」という意味で、中世パリのほかフランス各地に建てられたもので、この建物もその一つである。フランス各地のオテルデューは近代病院の原型ともいわれている。ボーヌのオテルデューはフランス各地に現存するオテルデューの中でも最も有名である。この建物は1971年まで病院として使用されてきたが、現在は、当時の医薬品や医療器具を展示する医学博物館となっているほか、ブルゴーニュ地方特産のワインのオークション会場としても使われている。◇「病院」を意味する「オスピス」とも呼ばれる。

出典 講談社世界の観光地名がわかる事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のオテルデューの言及

【シテ[島]】より

…パレ・ド・ジュスティスとノートル・ダム大聖堂の間には貧民街が形成されていた。またノートル・ダム大聖堂の前庭の北側には,1749年に棄児養育院の建物が完成し,南側のオテル・デュー病院の古い建物(12~13世紀)と対照をなしていた。 19世紀になると貧民宿の集中するシテ島の一角は,昼なお暗い闇の地帯として有名になり,大衆小説の舞台ともなる。…

【施療院】より

…4世紀ごろ,ローマ帝国におけるキリスト教教会は癩(らい)病,不具,盲目,貧者のための施療院を建てた。6世紀中ごろにはリヨンにオテル・デューHôtel Dieuがつくられた。また西アジア,北アフリカのイスラム世界でも,為政者は施療院の建設を行った。…

【ボーヌ】より

…現在はブドウ酒の集荷地としても有名で,毎年11月に開かれるブルゴーニュ・ワインの競売会には世界各地から商人が集まってくる。【志垣 嘉夫】
[オテル・デューHôtel‐Dieu]
 〈神の館〉の意で,1443年ブルゴーニュ公国の大法官ロランNicolas Rolin(1376‐1461)が貧しい病人を収容するためにボーヌに創建した慈善病院。いわゆるブルゴーニュ・フランドル様式のゴシック建築である。…

※「オテルデュー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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