原型(読み)ゲンケイ

デジタル大辞泉 「原型」の意味・読み・例文・類語

げん‐けい【原型】

もとの型。もとになる構造構成をもつもの。「平城京原型長安である」
鋳物彫刻作品などのもとになる型。土や石膏などで作る。「粘土原型を作る」
洋裁で、服を作るときに基本となる平面製図のもとの型。
動植物の、現存する諸種の類から抽象して、それらの根源とされる型。「ウマの原型
心理学で、現象背後にあって、その現象を発生させる根源的なもの。
[類語]原形典型モデルプロトタイプ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「原型」の意味・読み・例文・類語

げん‐けい【原型】

  1. 〘 名詞 〙
  2. もとの型、また、もとの形。原形。
    1. [初出の実例]「人類の文明史は、叔父さん側の原型と貴方側の原型との間を振子のやうに往復して今日に至ったものでは無いでせうか」(出典:若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上)
  3. 彫刻、鋳物などのもとになる型。油、土、石膏(せっこう)などで作る。
    1. [初出の実例]「岡崎某は全く原型を造る事を知らず只人の造りたる原型によりて鋳形造る迄の事なり」(出典:銅像雑感(1900)〈正岡子規〉)
  4. 洋裁などで、服を作るときに基本となる製図の型。
  5. 書誌学で、本に関して、損傷などを受ける以前の形態をいう。
  6. 生物学で、生物の諸種の発生的な類似から類推された現存生物の根源の型をいう。
  7. 心理学で、表面にあらわれた現象の背後にあって、その現象を発生させるものをいう。
  8. 人類が太古から引き継いだ情緒的内容をもつ普遍的な思考のパターンをいう。ユングの用語。太古型。原始類型。アーキタイプ。

原型の補助注記

は、「元型」とも書く。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の原型の言及

【形態学】より

…つまりゲーテは,自然哲学的な立場から生物体の形成と変成の学を形態学と呼んだ。こうした動的な考え方の一つの現れとして,ゲーテは独自の比較解剖学的観察に基づき,すべての植物および動物の〈原型〉の概念に到達することにもなった。ゲーテ流の形態学の気風は,比較によって多くの種類に通ずる一般性を求めようとする現代のポルトマンなどの比較形態学に受けつがれているといえる。…

【相同】より

… 進化論が現れる前には,動物の比較解剖学は一種の類型学として博物学のなかで重きをなしていたが,その時代にも器官の同一性の追究は中心的な問題であった。諸種の生物の構造の解明に基づいて〈体制〉の比較が行われ,そのうえ各生物群の一般的な〈原型achetype〉を観念的に追究する試みがしばしば行われた。1840年代になって,イギリスの比較解剖学者R.オーエンが相同と相似の概念を初めて区別したが,そのころの相同の概念は解剖学および発生学からみた同一性にすぎず,諸種の現存生物をつなぎ合わせ,現存生物と化石生物を結びつける合理的な説明原理は存在しなかった。…

【元型】より

ユングによる分析心理学の用語。〈原型〉〈太古型〉などとも訳される。ユングは20世紀の初頭,精神分裂病者に対する心理療法的な接近を試み,分裂病者の幻覚や妄想の内容を,できるかぎり理解しようと努めた。…

※「原型」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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