オーセールの婦人像(読み)オーセールのふじんぞう(その他表記)Lady of Auxerre

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オーセールの婦人像」の意味・わかりやすい解説

オーセールの婦人像
オーセールのふじんぞう
Lady of Auxerre

古代ギリシア彫刻最古の作の一つ。アトリビュートが何もないことと,その敬虔な姿から,神の像ではなく,神に祈りを捧げる奉納者自身の姿を刻んだ奉納像であろうと推測される。簡潔な造形と堅固な量感にあふれる様式は,この作品がクレタ派の彫刻家による,前 650年頃の作であることを示している。出土地不詳。総高 65cm (台座高 10cm) 。オーセール美術館旧蔵,ルーブル美術館蔵。

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世界大百科事典(旧版)内のオーセールの婦人像の言及

【アルカイク美術】より

…前7世紀中ごろには,従来の木造彫刻(クソアノン)に代わって大理石を素材とする大型彫刻の製作が始まる。ルーブルの有名な《オーセールの婦人像》は,平板な形態把握,逆三角形の頭部,狭い額,水平線を強調した頭髪の処理などに特徴があり,アルカイク彫刻で最も古い〈ダイダロス様式〉を代表している。アルカイク時代に奉納像,墓像として多く作られたのは直立する裸体の青年像(クーロス)と着衣の少女像(コレー)である。…

※「オーセールの婦人像」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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