改訂新版 世界大百科事典 「カッシノ」の意味・わかりやすい解説
カッシノ
Cassino
イタリア中部,ラツィオ州フロジノーネ県の都市。人口3万4590(1990)。ローマ時代はカシヌムCasinum,中世以降はサン・ジェルマノSan Germanoと呼ばれたが,1871年にカシヌムにちなんで現名に改称された。ローマ時代の円形劇場などの遺跡が付近に残っている。第2次世界大戦でドイツ軍のローマ防御線の重要拠点となり,連合軍の爆撃で壊滅したが,戦後再建され,この地方の商工業の中心地として多様な工業が立地している。町の西に位置する標高519mのモンテ・カッシノには,6世紀にヌルシアのベネディクトゥスが基礎を築いた有名な修道院(モンテ・カッシノ修道院)があり,中世を通じてキリスト教文化を担うひとつの核となり,特に11世紀に絶頂をきわめた。この修道院も,カッシノの町同様,第2次大戦で廃虚と化したが,貴重な写本,古文書等は前もって運び出され,被災を免れた。戦後,破壊前の18世紀の建築プランで再建され,その偉容を誇っている。
執筆者:萩原 愛一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報