かばい手(読み)かばいて

知恵蔵 「かばい手」の解説

かばい手

相撲勝敗は、土俵に足の裏以外の部分が先に付いた力士が負けとなるのが原則。ただし、相手力士の体を抱えるか、まわしを引いた状態で一緒に倒れ込んだ場合、すでに相手力士が重心を失っている場合(体が飛んでしまっている状態など)や、逆転が不可能と見られる場合(足の裏が返ってしまっている状態など)は死に体といって、たとえ土俵に先に手を付いたとしてもかばい手と判断され、負けとはならない。逆に相手の体が生きている(つまり逆転することが可能)と判断されればつき手で負けとなる。2004年名古屋場所で朝青龍と琴ノ若の対戦で、投げに体が飛んだ朝青龍の体の生き死にを巡って議論が起きた。同様に吊り出しの場合、自分の足が俵の外に踏み出してから相手の体を土俵外に下ろした場合は送り足と判断されるが、相手の体が死んでいないと判断されれば、踏み越しとなって負けとなる。

(根岸敦生 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「かばい手」の意味・わかりやすい解説

かばい手
かばいて

相撲の勝負規定第 14条に「相手の体を抱えるか,まわしを引いていて,一緒に倒れるか,または手が少し早くついても,相手の体が重心を失っているとき,すなわち体が死んでいるときは,かばい手といって負けにならない」とある。倒れるとき,上になった者が下の者の体をかばって衝撃を和らげるのが「かばい手」であり,下の力士にほんの少しでも逆転能力が残っているときは「つき手」となって負けになる。

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