キクバナイグチ(読み)きくばないぐち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キクバナイグチ」の意味・わかりやすい解説

キクバナイグチ
きくばないぐち
[学] Boletellus emodensis (Berk.) Sing.

担子菌類、マツタケ目オニイグチ科の食用キノコ。傘はまんじゅう形で、径5~10センチメートル、表面は淡紅色を帯びた地肌の上に濃いぶどう酒色の大きな鱗片(りんぺん)があり、ダリアの花を思わせる。周縁はちぎれた膜片で縁どられる。肉は淡黄色、空気に触れると淡青色に変わる。管孔部は厚さは1~2センチメートル、黄色で青いしみがつく。孔はやや大形、茎は円柱状で、長さ7~10センチメートルほど。胞子は長楕円(ちょうだえん)形(ラグビーボール形)で縦に走るうね状の隆起を帯び、20~24マイクロメートル×8~12マイクロメートル。初めは日本特産種と考えられたが、その後、東南アジア、北アメリカ南東部にも分布することがわかった。照葉樹林雑木林に生える。

[今関六也]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のキクバナイグチの言及

【オニイグチ(鬼猪口)】より

… オニイグチ科Strobilomycetaceaeの胞子は表面に突起または網目状ないしうね状の隆起模様があり,イグチ科の胞子が表面なめらかなのと異なる。この科にはキクバナイグチ属Boletellus,クロイグチ属Porphyrellus,ベニイグチ属Heimiellaなどがあり,今日までに12種ほどが記録されている。キクバナイグチBoletellus emodensis (Berk.) Sing.はかさがポンポンダリアのようで美しい。…

※「キクバナイグチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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