照葉樹林(読み)ショウヨウジュリン

デジタル大辞泉 「照葉樹林」の意味・読み・例文・類語

しょうよう‐じゅりん〔セウエフ‐〕【照葉樹林】

常緑広葉樹のうちで、葉のクチクラ層が発達して光沢があるシイクスノキツバキなどを優占種とする樹林。東アジアの亜熱帯から暖温帯にかけて最も広く分布。
[類語]木立森林密林ジャングル山林雑木林林野樹海樹林保安林防風林防雪林砂防林防砂林原生林原始林熱帯雨林熱帯降雨林熱帯林温帯林寒帯林紅樹林マングローブ広葉樹林針葉樹林落葉樹林松林杉林梅林竹林

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精選版 日本国語大辞典 「照葉樹林」の意味・読み・例文・類語

しょうようじゅ‐りんセウエフジュ‥【照葉樹林】

  1. 〘 名詞 〙 常緑広葉樹を主とする樹林。葉はクチクラ層が発達し、革質、深緑色で、光沢があるのでこの名がある。カシ・シイ・クスノキなどが代表的。亜熱帯から暖帯にかけて多く、アジア東南部・北アメリカフロリダ・南アメリカ中部などに、日本では関東以西に発達。常緑広葉樹林

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「照葉樹林」の意味・わかりやすい解説

照葉樹林
しょうようじゅりん
laurilignosa; laurel forest

常緑広葉樹(→常緑樹広葉樹林)が優占種である森林。暖温帯から亜熱帯北部で,雨量が夏季多く冬季少ない地域に発達する。優占種のは厚く,表面にクチクラの層をもち光沢がある。は鱗片,毛,ろう質により冬の寒さと乾燥から保護される。地中海地方の山地の多雨地域,ヒマラヤ山脈南斜面から中国のユンナン(雲南)を経て日本南西部の低地に及ぶ地域に発達する。クス型(→クスノキ),タブ‐シイ型(→タブノキシイ),カシ型(→カシ)の森林を含み,亜高木層と低木層もツバキサザンカモチノキヤツデアオキなどの照葉樹が占める。葉はおもに 5月に落ち,現存量(→バイオマス)は乾量で 1haあたり 8~9t。冬も温度の高いときは光合成を行ない,1年間の乾物総生産量は約 60t,純生産量(純一次生産量。植物が光合成で生産した有機物の量から呼吸量を引いた量)は約 18tに及ぶ。(→群系

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改訂新版 世界大百科事典 「照葉樹林」の意味・わかりやすい解説

照葉樹林 (しょうようじゅりん)
laurel forest

西南日本,台湾,華中,雲南,ヒマラヤ,東南アジアの山地とアジア大陸東岸に広がる暖温帯常緑広葉樹林の1型。この林は,コナラ属アカガシ亜属,シイ属,マテバシイ属などのブナ科を優占種としながら,クスノキ科ハイノキ属,ヤブコウジ属などの多くの種類の樹木を混じえ,樹高は20~30mで,巨大高木層はない。表皮のクチクラ層が発達した光沢の強い深緑色の葉をもち,冬の寒さや乾燥から保護された冬芽をもつ点が特徴である。夏の乾燥に耐える小型硬質で厚い常緑葉をもつ冬雨型気候の大陸西岸暖温帯の硬葉樹や,薄くて大きな葉をもち特別な冬芽をつくらない熱帯・亜熱帯の常緑樹とは同じ常緑樹でも異なる。夏雨型気候の大陸東岸の暖温帯においても落葉樹林が成立するところがあり,北アメリカ東部や中国の長江中流部では雨量が少ないため,朝鮮半島では冬が寒いためと考えられており,照葉樹林が成立するためには,多雨で寒すぎない気候が必要なようである。照葉樹林という言葉はもともと,硬葉樹林帯にあるが夏の乾燥が弱まる山地の北斜面に成立するカナリア諸島ゲッケイジュの林に対して使われたが,現在では,フロリダ半島亜熱帯林や極端な海洋性気候下のニュージーランドアンデスの常緑広葉樹林・針葉樹林のように,硬葉樹林を除く亜熱帯・暖温帯の常緑樹林に広く用いられている。アジア大陸東岸の照葉樹林はこれらとは相観や環境条件が異なるので,区別した方がよいという考えがある。照葉樹林帯は太古からの人類の生活域で,現在では人口密集地帯となっており,それだけに自然植生が最も破壊されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「照葉樹林」の意味・わかりやすい解説

照葉樹林
しょうようじゅりん

常緑広葉樹のうちで葉面のクチクラ層が厚く、光沢があり、葉の大きさが20~50平方センチメートル前後の照葉樹が優占する林をいう。シイ、カシなどのブナ科、クスノキ、タブノキなどのクスノキ科、ツバキ、ヒサカキなどのツバキ科などの植物が優占する。照葉樹林はアジアの熱帯山地から、ヒマラヤ、中国南部、台湾、日本を含む東南~東アジア地域にもっとも広く発達する。また、最寒月の月平均気温がマイナス1℃までは耐えられる。照葉樹林の一部は亜熱帯林にも含まれるが、大部分暖温帯林である。林は高木、亜高木、低木、草本の4層からなり、樹高は20~30メートルに達する。林床にはシダ類が多く、常緑のつる植物も多い。照葉樹林は熱帯低地多雨林ともっとも類縁が近い森林である。

[大澤雅彦]

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百科事典マイペディア 「照葉樹林」の意味・わかりやすい解説

照葉樹林【しょうようじゅりん】

常緑広葉樹林とも。アジア大陸東部の亜熱〜暖温帯の多湿の地域に見られるブナ科の常緑広葉樹を主にした森林群系。照葉樹は,表皮のクチクラ層が発達した光沢の強い深緑色の葉と冬芽をもつことを特徴とする。林床は暗く,下層植生の発達は悪い。日本では本州南部以南に見られる。
→関連項目

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「照葉樹林」の解説

しょうようじゅりん【照葉樹林】

鹿児島の芋焼酎。酒名は、蔵が大隅半島・高隈山系の照葉樹林帯に位置することにちなみ命名。この森の伏流水と白麹を用いて仕込む。蒸留法は常圧蒸留。原料はコガネセンガン、米麹。アルコール度数25%。蔵元の「神川酒造」は平成2年(1990)創業。所在地は鹿屋市永野田町。

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デジタル大辞泉プラス 「照葉樹林」の解説

照葉樹林

鹿児島県、有限会社神川酒造が製造する芋焼酎。

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世界大百科事典(旧版)内の照葉樹林の言及

【植生】より

…熱帯季節林(熱帯雨緑林)は,乾燥度が強まるにつれて,巨大高木層がなくなり,乾季に上層だけが落葉するものから全体が落葉するものに変わる。湿潤な暖温帯には優占種のある常緑広葉樹林が成立し,大陸東岸の夏雨気候は照葉樹林で,西岸の冬雨気候は硬葉樹林となる。熱帯の乾燥帯では,温帯での草本とは異なり,とげ低木が優占する。…

【森林】より

… 森林植生は,標高に応じた温度変化に伴い垂直的に変化する。暖温帯域では亜山地帯(照葉樹林帯),山地帯(落葉広葉樹林帯),亜高山帯(常緑針葉樹林帯),高山帯(ハイマツ帯,森林限界以上)に区別されている。北アルプスではおよそ500m,1700m,2500mがそれぞれ亜山地帯,山地帯,亜高山帯の上限にあたり,2500m以上が高山帯となる。…

【相観】より

…世界的にみれば,気候が変われば相観は変わる。東アジアのような湿潤地域での熱帯から寒帯へという温度変化に伴っては,巨大高木を含めて3層の高木層をもち優占種がない常緑の熱帯多雨林,巨大高木層のなくなる亜熱帯多雨林,優占種が目だつ暖温帯常緑広葉樹林(照葉樹林),冷温帯落葉(夏緑)広葉樹林,亜寒帯針葉樹林,寒帯荒原(ツンドラ)へと移行する。熱帯での湿潤から乾燥へという変化に伴っては,熱帯多雨林,乾季に上層木が落葉する半常緑熱帯多雨林,全体が落葉する熱帯季節(雨緑)林,樹木を混じえた熱帯草原(サバンナ),とげ低木の生育する半砂漠,短命草本が出現する砂漠へと移行する。…

※「照葉樹林」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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