グリコーゲン・ローディング(読み)ぐりこーげんろーでぃんぐ(その他表記)glycogen loading

知恵蔵 の解説

グリコーゲン・ローディング

スポーツ時の体内エネルギー源の中で最も重要なのは、筋肉肝臓貯蔵されるグリコーゲンである。前もってグリコーゲンを十分に貯蔵しておくための食べ方をグリコーゲン・ローディング、またはカーボ・ローディング(carbo‐loading)という。具体的には、1日3回の食事炭水化物を取り、後にオレンジジュースを飲む。これは、クエン酸によって、食事で取った炭水化物(でんぷんや糖分)からのグリコーゲン補充が促進されるため(急速グリコーゲン・ローディング)。また、バナナはでんぷん、デキストリン砂糖ブドウ糖などの混合炭水化物からなる優れたグリコーゲン補充向きの食品である。早朝と夕方の1日2回のトレーニングでグリコーゲンの消耗が激しい場合、3食とも高炭水化物食とし、脂肪の摂取を抑える。試合前1週間かけてのグリコーゲン・ローディングには、初めの3日間を低炭水化物食(高たんぱく質・高脂肪食)とする。これによって、体内グリコーゲンの貯蔵が枯渇し、筋肉や肝臓のグリコーゲン合成酵素の活性が著しく高まる。その後の2〜3日には、逆に高炭水化物食を食べる。このような食べ方で、グリコーゲンの蓄積通常の約1.5倍にも増える。近年研究で、前半の高脂肪食期に筋肉中にファット・ローディングが促されていることが明らかにされつつあり、こうした栄養処方は脂肪とグリコーゲンの両方を筋肉に蓄積する効果をもつと考えられる。

(鈴木正成 早稲田大学スポーツ科学学術院特任教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

グリコーゲン・ローディング
glycogen loading

運動前,筋肉にグリコーゲンを多く蓄えるほど,持久能力が高くなる。また,ただ単に炭水化物を多くとるより,いったん筋肉のグリコーゲンを消耗させてから高炭水化物食をとる方が筋肉のグリコーゲン含量がより多くなることが実験的に証明され,そこから編み出された食事法。試合の1週間前に激しいトレーニングを行なって筋肉内のグリコーゲンを使いきり,その後3日間脂質中心の食事をし,試合の2~3日前に高炭水化物食に切り替える。マラソンや自転車ロードレースなど長時間の競技でその効果が大きいが,パワー系の種目では効果はない。心電図の異常所見などのマイナスの副作用も報告されているので,最近はこのような極端な食事内容の切り替えはせず,高炭水化物食だけでローディングする方法 (カーボ・ローディング) に移行している。

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