ケージャン(英語表記)Cajun

翻訳|Cajun

改訂新版 世界大百科事典 「ケージャン」の意味・わかりやすい解説

ケージャン
Cajun

アメリカの少数文化集団の一つで,ルイジアナ州南西部に住むフランス系住民。ケージャンの呼称は,アカディア人を意味するフランス語のアカディアンAcadienがなまってカジャンCajinとなったものをさらに英語式にしたところからきている。1604年最初にカナダ南東部アカディア(地方)に入植したフランス人が,18世紀に英仏間の植民地紛争(七年戦争)のあおりで追放され,各地を転々としたあげく当時フランス植民地だったルイジアナ低湿地帯に住みつき,同地域がアメリカに併合ののちも,周囲から孤立して独自の文化を保ってきた。カトリックを信仰し,近年までフランス語(かなりなまりが著しくケージャン・フレンチと呼ばれる独特な言語)を使用してきたが,最近は独自性を失いつつあるようだ。この集団に属する人たちの数は正確にはわからないが約90万人といわれる。彼らの文化のうち最も特徴的なのが音楽で,バイオリンと古いボタン式のアコーディオンを使ったワルツ,ツー・ステップなどのダンス音楽をもつ。なおケージャン文化は同じルイジアナ州のもう一つのフランス系文化であるニューオーリンズのクレオール文化とははっきり区別される。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のケージャンの言及

【クレオール】より

…ニューオーリンズを建設し,奴隷労働の上に優美なフランス的文化を育てた人たちが,その中心をなす。後には,フレンチ・インディアン戦争(1755)で,フランス領カナダのノバ・スコシア地方を追われてきた〈ケージャンCajun〉と,本来の植民者を区別する言葉としても用いられた。しかしクレオールという言葉はしばしば誤用され,フランス系やスペイン系と黒人との混血を意味するようにもなった(日本でもこの意味が通用している)。…

【クレオール】より

…ニューオーリンズを建設し,奴隷労働の上に優美なフランス的文化を育てた人たちが,その中心をなす。後には,フレンチ・インディアン戦争(1755)で,フランス領カナダのノバ・スコシア地方を追われてきた〈ケージャンCajun〉と,本来の植民者を区別する言葉としても用いられた。しかしクレオールという言葉はしばしば誤用され,フランス系やスペイン系と黒人との混血を意味するようにもなった(日本でもこの意味が通用している)。…

※「ケージャン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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