アコーディオン(読み)あこーでぃおん(英語表記)accordion

翻訳|accordion

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アコーディオン」の意味・わかりやすい解説

アコーディオン
あこーでぃおん
accordion

フリーリード(自由簧(こう))をもつ気鳴(きめい)楽器の一種ふいごの原理を利用して箱形の蛇腹(じゃばら)を伸縮させ、金属製のリードに風を送って音を出す。リードは各音に2枚ずつつけられ、蛇腹の引き・押しに応じて片方が鳴る。奏者は楽器を胸につるし、右手で鍵(けん)およびストップを操作しておもに旋律を奏し、左手でふいごとバスボタンを操作して伴奏低音和音を奏する。左手のボタン一つで和音(アコード)ができることからアコーディオンとよばれる。リードオルガン系譜を引きつつ、1777年にヨーロッパへもたらされた中国の笙(しょう)にヒントを得て、1821年にベルリンのブッシュマン、1829年にウィーンデミアンが製作した。当初は右手の鍵はボタン式で、この型はコンサーティーナアルゼンチンタンゴで使用されるバンドネオンに引き継がれている。1852年以後、ピアノ式鍵盤が普及した。大衆的な楽器としてダンスホールやカフェで使用される一方、芸術音楽の分野では1927年にヘルマンが独奏曲をつくり、1931年には音楽学校が創設されるに至った。ベルクやプロコフィエフらも自作において使用している。日本では手風琴とよばれ、明治20年代から薬の行商人が街頭で演奏するなどして全国的に広まった。1931年(昭和6)に封切りされた映画『巴里(パリ)の屋根の下』によって都会で流行し、現在まで流行歌や軽音楽の伴奏のみならず、手軽なことから労働運動の際や流しの職業歌手にも愛用されている。

[中川 真]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アコーディオン」の意味・わかりやすい解説

アコーディオン
accordion

フリー・リード楽器の一種。蛇腹を備えたふいごを伸縮して風を送ると,空気が金属製のリードのついた穴を通過して発音する。右手でピアノ式の鍵盤 (もしくはボタン) とスイッチを操作し,左手でふいご (蛇腹) を伸縮すると同時に,低音と和音を伴奏用の押しボタンを操作して演奏する。

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