こきりこ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「こきりこ」の意味・わかりやすい解説

こきりこ

日本の民俗芸能楽器。「小切子」「筑木」などの字をあてる。細い2本の竹の棒を打合せるもので,長さ 25cm前後のものが多く,色布で巻き,房をつけたりしてある。踊り手が踊りながら,両手に1本ずつ持って打合せる。綾竹 (あやたけ) ともいう。『看聞御記』の永享8 (1436) 年の条に記録があり,中世以来用いられていたものである。古くは放下僧 (ほうかそう) が用いたといわれる。現在では,富山県五箇山 (ごかやま) のこきりこ踊,新潟県の綾子舞中のこきりこ踊,神奈川県三浦三崎のチャッキラコ踊などに用い,こうした民俗芸能を取入れた歌舞伎舞踊にも用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のこきりこの言及

【放下僧】より

…〈面白の花の都や……〉という歌い出しで,《閑吟集》にも収録されており,(1)以外にも,狂言《花折》《花盗人》などにも用いられる。これが,東京都小河内の《鹿島踊》をはじめ,各地の〈風流(ふりゆう)〉や〈神事舞〉の歌として遺存し,《こきりこ》という曲題でもいわれた。早く,女歌舞伎踊にもとり上げられ,《松の葉》では,上方で行われた座敷浄瑠璃の半太夫節として,2種の〈放下僧〉の歌が収録されている。…

※「こきりこ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

戒厳令

一般的には指定地域で、国の統治権の全部または一部を軍に移行し、市民の権利や自由を保障する法律の一部効力停止を宣告する命令。戦争や紛争、災害などで国の秩序や治安が極度に悪化した非常事態に発令され、日本...

戒厳令の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android