改訂新版 世界大百科事典 「コーロア」の意味・わかりやすい解説
コーロア (古螺
)
Co Loa
ベトナム北部,ハノイ北東の村。前3世紀のアンズオン(安陽)王がつくったとされるコーロア城が全村を覆う。城址は全周8kmの円形外城,6.5kmの間城,1.6kmの方形内城の三段構えで,各城塁の外に幅10~30mの濠が巡る。外濠は南東でホアン川と一致し,内城も南東に偏る。アンズオン王は船で三濠を回って川に出たと伝える。水陸両戦用の城は,宇宙論的に山と水,天(円)と地(四角)の統一を意味し,巻貝の象徴論等も絡む。遺構のどの部分が先史に属するのか未解明だが,城の構造は中国式ではなく,先史城砦が基礎にあった可能性がある。城内外に新石器時代後期以降の遺跡が多く,1万点余の青銅鏃も出土した。先史にさかのぼる円形土塁の砦村址は高ラオスやメコン沿岸地方に多いと言われる。
執筆者:宇野 公一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報