化学辞典 第2版 「シェブレル相」の解説
シェブレル相
シェブレルソウ
Chevrel's phase
三元系モリブデンカルコゲン化物MxMo6T8(x = 0~4,T = S,Se,Te)は,Mo6T8が単位のクラスターで,これに貫入した化合物ができる.たとえば,Li+ ではx = 0.6などで相をつくるので,MxMo6T8を,1971年にはじめて報告したR. Chevrelにちなんで,シェブレル相またはシェブレル錯体という.構造が特異であり,また電気的,磁気的に興味ある性質を示すので,注目を集めている.たとえば,PbMo6S8では,13.3 K 以下で超伝導体である.この構造は図のように,8個のSのつくる立方体クラスターのなかに,6個のMo原子でつくる八面体クラスターがあり,それがPb原子のつくる立方体のなかにあり,対角線に対して約26°回転した構造をとっている(図は回転する前のもの).Moクラスターと隣りのSクラスターの相互作用の存在が指摘されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報