化学辞典 第2版 「シャープレス酸化」の解説
シャープレス酸化
シャープレスサンカ
Sharpless oxidation
K.B. Sharpless(シャープレス)らにより開発されたオレフィンの酸化で,以下の2種類の反応が知られている.【Ⅰ】不斉エポキシ化反応:触媒としてチタン酸テトライソプロピル,不斉配位子として酒石酸ジエチルを用いた第一級アリルアルコールの不斉エポキシ化反応で,酸化剤はt-ブチルヒドロペルオキシドを使う.チタンにアリルアルコキシドアニオン,t-ブチルヒドロペルオキシドアニオンが配位した混合配位子錯体を経由し,二重結合が高立体選択的にエポキシ化される.酒石酸ジエチルの立体を選択することにより両鏡像体の合成が可能となり,また生成するエポキシアルコールの絶対立体配置を予測することができるので,多くの合成に利用される.
【Ⅱ】不斉ジヒドロキシ化反応:オスミウム触媒によるオレフィンのジヒドロキシ化反応に際し,ジヒドロキニジン-フタラジン誘導体を配位子として用いると,高立体選択的に酸化される.一般に,酸化剤としてはヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウムを用い,t-ブチルアルコール-水の混合溶媒中で行う.現在では,これらの試薬類が混合されたAD-mix-α,AD-mix-βとして市販されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報