日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュティレ」の意味・わかりやすい解説
シュティレ
しゅてぃれ
Hans Stille
(1876―1966)
ドイツの構造地質学者。ハノーバーに生まれる。ゲッティンゲン大学で地質学を学び、プロイセン地質調査所を経て、ゲッティンゲン大学教授となる。『比較地体構造論の根本問題』(1924)などの著書によって、世界の構造地質学界に大きな影響を与えた。「長い地向斜時代→短い期間の1回ないし複数回の造山運動と大山脈の形成山脈の低平化」というサイクルを認め、これを「地体構造のサイクル」とよんだ。このサイクルに相応して地向斜期、造山期、大陸期にそれぞれに特有の火成活動があり、マグマ活動にもサイクルがあるとした。また不整合を重視し、それが短期間の造山運動の現れであるとみなし、長い静穏期を経たあとで世界中同時に造山運動がおこったとする説を述べ、多くの賛同者を得た。
[木村敏雄]