地質学の一分科。(1)断層、褶曲(しゅうきょく)など岩石や地層の変形形態や機構を研究したり、(2)造山運動、プレートテクトニクスなど地殻の構造とその発展を研究する学問。英語では(1)をstructural geology、(2)をtectonics、また両者をあわせてstructural geologyとよぶことが多い。(1)の研究には、自然の観察による研究法、岩石をさまざまな条件下で実際に変形させる実験的研究法、弾性論、粘性論などを用いる理論的研究法などがある。一方、(2)の研究には、たとえば日本列島の形成史、アパラチア山脈の形成史などの研究が例としてあげられる。このような研究には力学的視点のみならず、古生物学、岩石学、堆積(たいせき)学など地質学の全分野を総動員しなければならない。プレートテクトニクスの研究には、地質学のみならず地震学、古地磁気学など地球物理学的手法を用いる必要がある。
[吉田鎮男]
structural geology ,tectonic geology ,tectonics ,geotectonics
地殻の内部で発生した運動学的過程および力学的過程を研究し,それを支配する法則と原動力を解明する学問分野。その課題は,1)個々の構造形態の分類と形成メカニズム,2)構造形態の地理的分布の研究,3)その法則性の解明,4)地球内部の物質の移動・造構運動に伴って起きた構造形態の変化発展史の研究,構造帯の区分,5)造構運動を全体としてとらえ,その発展を規定する原因と力を明らかにする研究にある。structural geologyは,1)~3)すなわち背斜・向斜・断層・線構造などの個々の構造とそれらの地域的分布を,tectonicsまたはgeotectonicsは,4)~5)すなわちさらに大きいスケールの構造単位,堆積盆地,造山帯などについて形態・類型・進化を全体として対象にする。
執筆者:松井 愈
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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