化学辞典 第2版 「ジクロロカルベン」の解説
ジクロロカルベン
ジクロロカルベン
dichlorocarbene
2個のCl原子が二価のC原子に結合したカルベンの一種.
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クロロホルムに強塩基を作用させると生成し,オレフィンが共存するとジクロロシクロプロパン誘導体を生成する.cis-2-ブテンとの反応ではシス形のシクロプロパンを,trans-2-ブテンとの反応ではトランス形の異性体を生成する.一般に,カルベンは三重項状態のほうが一重項状態より安定であるが,ジクロロカルベンなどのジハロカルベンは,ハロゲンの電子求引性効果により一重項のほうが安定化しているものと考えられる.ジクロロカルベンは炭素間の二重結合へ付加するが,炭素-水素間への挿入反応はみられず,求電子性が大きいとみられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報