シクロプロパン(読み)しくろぷろぱん(英語表記)cyclopropane

翻訳|cyclopropane

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シクロプロパン」の意味・わかりやすい解説

シクロプロパン
しくろぷろぱん
cyclopropane

シクロアルカンの一つ。トリメチレンともいう。無色の可燃性気体。酸素と爆鳴気をつくる。合成は1,3-ジクロロプロパンと亜鉛ウルツ反応によるか、エチレンへのカルベン付加反応(シモンズ‐スミス反応)による()。シクロプロパン炭素結合角のひずみが大きく、そのため3員環を構成している炭素‐炭素結合(C-C)は折れ曲がった結合(バナナ結合)である。開環のとき、ひずみのエネルギーを放出するので、他のシクロアルカンよりはるかに反応性に富んでいる。ニッケル触媒上、120℃で水素化され、プロパンを与える。ルイス酸触媒下では臭素と反応して1,3-ジブロモプロパンを、また、水が付加して1-プロパノールを生成する。酸素との混合体は吸入麻酔剤として用いられる。

[向井利夫]



シクロプロパン(データノート)
しくろぷろぱんでーたのーと

シクロプロパン
分子式C3H6
分子量42.1
融点-127.53℃
沸点-32.7℃
屈折率(n)1.3799

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シクロプロパン」の意味・わかりやすい解説

シクロプロパン
cyclopropane

化学式 C3H6 。シクロアルカンの一種。ジブロムプロパンから合成される。特異臭のある無色で引火性の気体。沸点-34℃。分子構造がきわめてひずんでいるため,化学的に活性で,水素2原子を付加して n- プロパンになる。そのほか炭素-炭素二重結合に似た反応を起す。ただし二重結合よりも活性ではない。空気との混合物引火爆発する。吸入麻酔薬として使われる。除虫菊の有効成分ピレスリンはその分子構造中にシクロプロパン環をもっている。

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