強塩基(読み)キョウエンキ

デジタル大辞泉 「強塩基」の意味・読み・例文・類語

きょう‐えんき〔キヤウ‐〕【強塩基】

水溶液中で電離度の大きい塩基水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化バリウムなど。強アルカリ。→弱塩基

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精選版 日本国語大辞典 「強塩基」の意味・読み・例文・類語

きょう‐えんきキャウ‥【強塩基】

  1. 〘 名詞 〙溶液中で水酸イオンを多量に解離し、強いアルカリ性を示す物質。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなど。

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化学辞典 第2版 「強塩基」の解説

強塩基
キョウエンキ
strong base

塩基の強さは,定義,溶媒,相,また濃度,温度によって異なる.アレニウス塩基は水溶液中で水酸化物イオンOHを放出する化合物と定義されているから,単純にいえば強電解質で完全電離するアルカリ金属水酸化物NaOH,KOHなどが強い塩基.アルカリ土類金属元素,とくに原子番号の小さいものの水酸化物は溶解度が低く,弱い塩基である.一般には,電離度が高く解離定数Kb が大きい,あるいは解離定数の逆数の対数値pKb (=-log Kb )の小さい物質が強い塩基である.ブレンステッドの定義に従えば,共役酸のpKa が大きい物質にあたる.現在知られるもっとも強い塩基はpKa 50のブタンC4H10の共役塩基C4H9で,化合物としてはC4H9Liなど.ただし,電離度,解離定数は,濃度,温度に依存するから,比較は溶液のイオン強度を一定に保って,すべての化学種の活量係数が不変の状態で,かつ標準状態(25 ℃)で決定した値による.ブレンステッド塩基は,プロトン受容体であるから,気相中のブレンステッド塩基の強さは陽子親和力PAの大きさで表すことができる.

NH3(PA = 862 kJ mol-1) < CH3NH2(898 kJ mol-1) < (CH3)2NH(926 kJ mol-1) < (CH3)3N(938 kJ mol-1)
アンモニアからトリメチルアミンに向かって塩基性が強くなる.水溶液中ではpKb (=-log Kb )の順は,

NH3(4.74) > CH3NH2(3.36) > (CH3)2NH(3.29) < (CH3)3N(4.28)
となり順番が気相と異なる.トリメチルアミンがジメチルアミンより弱い塩基になる理由は,共役酸

(CH3)3NH((CH3)3N + H2OOH + (CH3)3NH)
メチル基を3個もっていてかさ高なため,溶媒和による安定化が少ないためである.液体アンモニア中では,水溶液中のほとんどの塩基は不溶か,弱い塩基となる.アンモニアは

2NH3 NH4 + NH2

のように電離するから,液体アンモニア中ではNH2が水溶液中のOHにあたり,アルカリ金属アミド,NaNH2などが強塩基.水素化物イオン H,酸化物イオン O2- は水溶液中で非常に強い塩基であるが,液体アンモニア中でもNH3からプロトンを受けとって,水溶液中と同様に共役酸 H2,OHとNH2を生じる強い塩基である.ルイス塩基は電子対供与体であるから,配位子は塩基で,電子吸引性の強い基で置換すると塩基性が弱くなる.たとえば,塩基性の強さは

(CH3)3N > H3N > F3N.
高濃度溶液では,イオン間の近距離相互作用による活量係数の増大や,溶媒である水の活量の低下がはたらいて,NaOHの飽和水溶液(モル分率0.31)の pH にあたる数値を-log[H2O(活量)]として求めると19にもなる.ただしIUPACpHスケールを濃度0.1 mol dm-3 以下の水溶液に制限している.[別用語参照]強酸

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