日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカムレングの丘」の意味・わかりやすい解説
スカムレングの丘
すかむれんぐのおか
Skamlingsbanken
19世紀のデンマーク・ナショナリズム運動ゆかりの地。ユトランド半島南部東岸、コリング市の南10キロメートルの位置にある。スリースウィ(ドイツ語名シュレスウィヒ)公爵領のデンマーク王国境界に近い公爵領最高点(標高113メートル)のこの丘で、1843~59年デンマーク民族祭典が毎年開かれ、王国と公爵領双方からデンマーク人が参集し、ドイツ文化の優位性に抗して北欧人・デンマーク人としての誇りが語られた。1863年以来、16メートルの石のオベリスクが建っており、第二次スリースウィ戦争後、ドイツ統治下(1864~1920)のデンマーク少数民族の存在の象徴的記念碑となり、スリースウィ北部地方の祖国復帰後、1930年代にはドイツのナチス運動に対抗して「デンマーク青年国境防衛団」の集会が当地で開かれた。
[村井誠人]