日本大百科全書(ニッポニカ) 「オベリスク」の意味・わかりやすい解説
オベリスク
おべりすく
obelisk
古代エジプトの記念石柱で、一本岩でつくられている。起源は太陽信仰の本山ヘリオポリスの聖石(ベンベン石)であった。この聖石は一方にピラミッドを、他方にオベリスクを生んだ。オベリスクは方形の柱の頂上をかならずピラミッド形としている。古代エジプト人はこの石柱をテケンとよんだ。オベリスク(金串(かなぐし)の意)はギリシア人の名づけた名称である。オベリスクは神殿の内と外に、また塔門の前に、2本1組で立てられるのが通常であった。四つの面には神への賛歌と王の事績がヒエログリフで刻まれた。現存するオベリスクのうち最古のものは、ヘリオポリスにある第12王朝センウスレト1世のもの(前約2000)であり、最大のものは第18王朝ハトシェプスト女王のもの(29.5メートル)である。オベリスクは古くはエジプト征服者によって、近くは欧米の列強によって運び出された。そのために、外国には15本以上もあるのに、エジプト国内には5本しか立っていない。
[酒井傳六]