化学辞典 第2版 「セレニニル」の解説
セレニニル
セレニニル
seleninyl
で示される二価の基.無機化合物では,ハロゲン化セレニニルなどがある.たとえば,塩化セレニニルSeOCl2(オキシ塩化セレン,塩化セレニルともいう)[CAS 7791-23-3]は,空気中で発煙する無色の液体.SeO2とHClとの反応で液状のSeO2・2HClをつくり,これを濃硫酸で脱水すると得られる.分子は,Seを中心とした三方すい型で,Se-O1.61 Å,Se-Cl2.20 Å.∠Cl-Se-O106°,∠Cl-Se-Cl97°.融点10.8 ℃,沸点179 ℃.吸湿性で,水では加水分解してH2SeO3とHClになる.有機化合物では,R2SeO,RR′SeOなどがある.たとえば,セレニニルジエタン(C2H5)2SeO(ジエチルセレノキシドともいう),エチルセレニニルベンゼンCH3・SeO・C6H5(エチルフェニルセレノキシドともいう)など.対応するセレニド(たとえば,R2Se)を,O3,H2O2などで酸化するか,R2SeX2をアルカリ水溶液で加水分解すると得られる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報