無機化合物(読み)ムキカゴウブツ(英語表記)inorganic compound

デジタル大辞泉 「無機化合物」の意味・読み・例文・類語

むき‐かごうぶつ〔‐クワガフブツ〕【無機化合物】

炭素を含まない化合物、および簡単な炭素化合物酸化物シアン化物炭酸塩などの総称。⇔有機化合物

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精選版 日本国語大辞典 「無機化合物」の意味・読み・例文・類語

むき‐かごうぶつ‥クヮガフブツ【無機化合物】

  1. 〘 名詞 〙 炭素以外のすべての元素の化合物と炭素の酸化物・硫化物・炭酸塩・シアン化物の総称。有機化合物に対する語。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「無機化合物」の意味・わかりやすい解説

無機化合物
むきかごうぶつ
inorganic compound

有機化合物以外の化合物をいう。すなわち、炭素以外の元素だけからなる化合物、および炭素の化合物でも比較的簡単なものの総称。炭素の化合物は一般に有機化合物に分類されるが、そのなかでは比較的簡単な化合物、たとえば酸化物の一酸化炭素CO、二酸化炭素CO2、二酸化三炭素C3O2など、シアン(CN)2やシアン化カリウムKCNなどのシアン化物、シアノ錯塩K4[Fe(CN)6],K3[Fe(CN)6]など、チオシアン酸塩NaSCN,NH4SCN、炭酸塩K2CO3,KHCO3,Na2CO3などがそうで、これらは無機化合物として取り扱われるのが普通である。ただ、たとえばシュウ酸塩Na2C2O4,K2C2O4や、酢酸塩CH3COONaなどのように、どちらにも分類されるようなものもあって、区別がむずかしいこともある。また四塩化炭素CCl4二硫化炭素CS2のように簡単な化合物でも、その性質が有機化合物的であるものは有機化合物に分類されることもあり、その区別は厳密なものではない。また有機金属化合物については、これらをどちらに分類するかというよりは、無機化合物と有機化合物とは独立した第三の領域の分類としたほうがよいと考えられてきている。

[中原勝儼]

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改訂新版 世界大百科事典 「無機化合物」の意味・わかりやすい解説

無機化合物 (むきかごうぶつ)
inorganic compound

一般に有機化合物と呼ばれるものを除いたすべての化合物をいう。すなわち,簡単な炭素化合物ならびに炭素以外のすべての元素の組合せになる化合物をいう。無機化合物のなかに含まれる炭素化合物としては,簡単な酸化物(CO,CO2,C3O2など),シアンおよびシアン化物((CN)2,HCN,KCNなど),シアノ錯塩(K4Fe(CN)6など),チオシアン酸塩(HNCS,NaSCNなど),炭酸塩(K2CO3,NaHCO3など)がある。塩化物としてのCHCl3やCCl4,硫化物としてのCS2などは無機化合物とも,また場合によっては有機化合物ともみなされる。ギ酸塩,酢酸塩,シュウ酸塩などは有機化合物と考えられている。
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百科事典マイペディア 「無機化合物」の意味・わかりやすい解説

無機化合物【むきかごうぶつ】

有機化合物以外のすべての化合物の総称。すなわち炭素以外の元素からなるあらゆる化合物は無機化合物であり,炭素を含む化合物でも酸化物(CO2,CO),シアン化物(KCN),炭化物(CaC2),炭酸塩(K2CO3)などの簡単な化合物は無機化合物に含める。ただし簡単な化合物であっても,ギ酸HCOOH,メチルアルコールCH3OH,メタンCH4などはその性質から有機化合物とするのが普通。
→関連項目無機化学無機化学工業

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化学辞典 第2版 「無機化合物」の解説

無機化合物
ムキカゴウブツ
inorganic compound

有機化合物以外のすべての化合物の総称.有機化合物は炭素の化合物とされているが,少数の簡単な炭素化合物,すなわち,CO,CO2,炭酸塩,C2N2,MCN,MSCNなどは慣用上無機化合物に含めて扱うことが多い.有機化合物は主として共有結合性の分子であるのに対し,無機化合物は成分元素の種類が多いので化合物のタイプも多様である.非金属元素相互の化合物は共有結合性の分子が多い.金属元素と非金属元素との化合物はイオン結合性が強い.また,金属間化合物は金属結合性である.そのほか,無機化合物には,金属錯体高次化合物,無機高分子化合物などが含まれる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無機化合物」の意味・わかりやすい解説

無機化合物
むきかごうぶつ
inorganic compound

有機化合物を除くすべての化合物のこと。言い換えれば,炭素を含まない化合物と,炭酸塩のような簡単な炭素化合物の総称である。しかし無機化合物に含める炭素化合物の範囲は必ずしも厳密なものではない。シアン,チオシアン酸塩,二硫化炭素などは有機,無機化合物のいずれにも属すると考えられる。無機化合物の分子や原子団は小さいものが多いが,ケイ酸リン酸を主とするポリ酸では,巨大な高分子を形成するものもある。

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