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分子 ぶんし molecule

翻訳|molecule

7件 の用語解説(分子の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

分子
ぶんし
molecule

各物質に固有な性質をそなえた最小の粒子。物質は分子の集合体であり,分子をさらに分割すると,その物質の性質を失った粒子になってしまう。分子の存在は 1811年 A.アボガドロによって仮説として提唱されたのが始りである。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

分子

特定の物理化学的性質を示す原子、またはその結合体の最小単位のこと。1個の原子でも化学的に不活性で独立の粒子として振る舞う希ガス原子は分子である。同種の原子が化学結合で結び付いた分子もある。また二酸化炭素のように異なる原子の組み合わせからなる化合物もある。分子の大きさを示す尺度として相対的質量である分子量が用いられる。分子量は、その分子を構成する原子の原子量の和に等しい。分子量がおよそ1000以上のものは、特に高分子呼ばれるたんぱく質など数十万以上の分子量を持つものもある。単体または化合物を構成する分子の組成を表すには、成分元素の記号に1分子中に含まれている原子の数を付記した分子式が用いられる。例えば水素の分子式はH^2、水はH^2O、メタンはCH^4など。

(市村禎二郎 東京工業大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

ぶん‐し【分子】

原子の結合体で、その物質の化学的性質を失わない最小の構成単位。一つの原子よりなる単原子分子ヘリウムなど)、二原子分子水素酸素窒素など)、三原子分子(水・二酸化炭素など)から、数千~数万の原子よりなる高分子まであり、主に共有結合で結び付いている。
団体を構成している各個人。集団の構成員。成員。「不平―を除く」
ある性質や様相を形成している一部分。
「変化は則ち文学以外の―なり」〈子規・芭蕉雑談〉
分数または分数式で、割られるほうの数や整式。⇔分母

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百科事典マイペディアの解説

分子【ぶんし】

物質を構成する単位のうち,その物質の化学的性質をもっている最小の粒子。一般にいくつかの原子が化学結合によって集まってできている。共有結合性化合物はほとんどの場合常に分子からなり,気体,液体,固体において分子の存在がみられるが,イオン結合によるイオン結晶金属結合による金属などの固体では,イオンあるいは原子が構成単位であって,いわゆる普通の意味での分子の存在は認められない。
→関連項目原子モル

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶんし【分子 molecule】

分子は物質としての機能をもった最小の構成単位で,一般には安定である。分子は原子が化学結合してつくられ,その種類は600万以上に及び,毎年,数十万種の分子が新しく合成されたり,単離されている。英語のmoleculeはラテン語の〈量〉とか〈塊〉を意味するmolesと縮小辞のculaとを結びつけて物質固有の特性をもつ最小単位粒子を意味し,分子概念の本質をよく示している。
[分子概念の成立]
 錬金術時代を経たヨーロッパにおいては,哲学的で空想的な物質構成単位としての元素の概念が時代とともに科学的な言語となりつつあった。

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大辞林 第三版の解説

ぶんし【分子】

〔molecule〕 各物質の化学的性質をもった最小の単位粒子。希ガスのように一原子の分子もあるが、普通は複数個の原子が主として共有結合によって結合してできた電気的に中性な粒子。原子数が数千、数万にもなるものを高分子という。金属結合による金属の結晶やイオン結合性の強い食塩などの無機塩類の結晶には分子は存在しない。
団体の中の各個人。成員。 「不平-」
分数または分数式で、割られる方の数または式。 ↔ 分母 〔原義は「分かれでた子孫」の意。化学用語はオランダ語 molecule の訳語で「暦象新書」(1798~1802年)にある。数学用語は英語 numerator の訳語で「数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳辞書」(1889年)にある〕 → 分数

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

分子
ぶんし
molecule

原子が結合して生成した物質の基本構成単位。[岩本振武]

歴史

1811年イタリアのアボガドロは、当時広く認められるようになったドルトンの原子説に対し、水素や酸素の単体が原子1個からなるのではなく、水素と酸素が反応して生じた水の分子も、水素原子1個と酸素原子1個からなるのではないことを主張し、水素、酸素はそれぞれ2個の原子が結合した分子をつくり、水の分子は水素原子2個と酸素原子1個が結合したものであるとの仮説を提出した。これが現代の分子像の最初の提案である。その仮説の正しいことは、1860年ドイツのカールスルーエで開かれた第1回万国原子量会議でアボガドロの後輩にあたるカニッツァーロの力説によって、ようやく化学者たちの支持を受けるようになった。そこで初めて原子量の正しい数値の算出が可能となり、この会議に出席していたロシアのメンデレーエフが、のちに元素の周期律を提出することになるのである。
 同じころ、フランスのパスツールは酒石酸塩の光学異性体を分割し、オランダのファント・ホッフとフランスのル・ベルは有機化合物の光学異性体の構造と旋光能との関係を調べて、炭素が正四面体の中心から頂点の方向に結合の手を伸ばしている構造モデルを提案し、ドイツのケクレはベンゼン分子が正六角形に連結した炭素原子の環状構造をもつことを提案した。また、当時知られていた化合物のほとんどが簡単な整数比となる原子組成をもっていたため、すべての物質が単純な分子を基本単位としているとも考えられていた。
 20世紀に入り、X線回折法をはじめとする分子構造の決定法が発達し、熱力学的な諸量における分子(モル概念)と実際の分子との対応もつけられるようになった。その結果、通常の純物質の分子は一定種類の原子がそれぞれ正確に勘定できる一定個数だけ集合し、一定の結合順序によって構成されたものであることが明らかとなった。アボガドロが考えた分子はこれに相当するので、この種の分子をアボガドロ分子ということがある。これに対し、イオン結晶や金属結晶では、イオン結合や金属結合が結晶全体に及んでおり、比較的少数の原子からなる独立した分子は存在せず、あえて分子というならば、結晶全体が一つの巨大な分子を構成していることになる。そこで、この種の分子を巨大分子ということがある。
 一方、タンパク質やセルロースなどの高分子がきわめて分子量の大きな重合体であり、構成要素である単量体分子の単なる集合体ではないことが広く認められたのは1930年代のことであった。高分子は主として有機系、巨大分子は主として無機系の物質に使われる用語であるが、両者の間に本質的な差はない。[岩本振武]

分子概念の拡張

狭義の分子は複数の原子からなる電気的に中性な化学種であるが、分子運動や分子構造を論ずるときには原子やイオンを含むことも多い。気体分子運動論におけるもっとも簡単な分子は、分子回転や分子内での振動の寄与がない単原子分子である。現実には、希ガスの分子がこれに相当する。硫酸イオンのような多原子イオンや錯イオンの構造と分子構造との間には、電荷の有無を除けば本質的な差はない。たとえば、テトラヒドロホウ酸イオンBH4-、メタンCH4、アンモニウムイオンNH4+は、いずれも正四面体型の分子構造をもつ。電解質水溶液では、各イオンはそれぞれ独立した化学種として挙動し、電荷をもつ分子として扱うことができる。モル概念から誘導された物質(の)量は、物理・化学における基本単位の一つであり、単位名称はモル、単位記号molで示される。12C(質量数12の炭素原子)の0.012キログラムと同数の粒子を含む物質の量が1モルであるが、分子、イオン、原子、その他の基本的粒子のいずれであるかを問わず、アボガドロ定数個の集団が1モルとなる。1モル当りの熱力学的諸量の取扱いにおいても、分子、原子、イオンに対する区別はほとんどない。[岩本振武]

分子構造

もっとも簡単な構造をもつ分子は単原子分子であり、希ガス分子がその例となる。二原子分子は直線状であり、水素、窒素、酸素、塩素などその例は多い。三原子分子の二酸化炭素CO2は直線状であるが、水分子H2OはV字状である。アンモニアNH3は窒素原子を頂点とする三角錐(すい)の形となるが、リンの分子P4は各リン原子が頂点となる正四面体形である。アンモニア分子の三角錐も四面体形ではあるが、正四面体形ではない。BH4-,CH4,NH4+では、正四面体の中心にB、C、Nの各原子が位置し、各頂点にH原子が位置する。錯イオン[CoCl42-も正四面体形であるが、[Ni(CN)42-は正方平面形である。ヘキサシアノ鉄()酸イオン[Fe(CN)63-も六フッ化硫黄(いおう)SF6もともに正八面体形である。ドデカボラン(12)酸イオンB12H122-は正二十面体の各頂点をB原子が占め、中心から頂点を結んだ線の延長上にH原子が位置する対称性の高い構造をもつ。[岩本振武]

分子集合体

自然化学においては、なるべく精製された物質を用いて精密な実験を行い、その結果をなるべく単純化されたモデルによって理論的に説明する方法論が一般に採用されている。物理学、化学にとくにその傾向が著しい。しかし、天然に存在する物質系や人工的に合成される材料物質の多くはけっして単純な物質種ではなく、さまざまな化学種(分子、原子、イオンなど)が集合したものである。それらの理解は個々の分子に関する情報を正確に把握し、総合することによって可能となるとされており、分子集合体の物理・化学は今後の発展が期待される研究課題となっている。[岩本振武]
『日本化学会編『分子集合体――その組織化と機能』(1983・学会出版センター)』

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世界大百科事典内の分子の言及

【原子】より

… 原子内の電子が1個,あるいは2個以上放出されると正イオンになり,逆に中性原子に電子がとりこまれると負イオンになる。また,一般に2個以上の原子が結合すると分子になる。イオン,分子などの中の電子の状態は中性原子の中の電子の状態と同じではないが,原子の内側の部分にはあまり変化はなく,外側の部分が化学結合に関与する。…

※「分子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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