ソーラー・セイル(読み)そーらーせいる(その他表記)solar sail

知恵蔵 「ソーラー・セイル」の解説

ソーラー・セイル

太陽の光を巨大な帆で反射しながら、宇宙を航行する方式の宇宙推進。現在使われている固体燃料液体燃料のいわゆる「化学燃料」を使わない新方式の推進方法として、20世紀初めから提案されており、1980年代のハレー彗星へのソーラー・セイル計画(NASA・JPL)や90年代の国際的な月ヨット・レースなど、実現できなかったが注目を集めたことがある。近年、帆の材料開発が進み、惑星探査の航行手段として脚光を浴びつつある。2001年4月には、日本の宇宙科学研究所(当時)で、ソーラー・セイルのワーキング・グループが発足し、04年8月には小型ロケットから直径10mの薄膜帆を、さらに06年2月にも他の方法によって薄膜帆を展開することに成功した。ソーラー・セイルで木星以遠へ行くミッションも検討している。

(的川泰宣 宇宙航空研究開発機構宇宙教育センター長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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