常温常圧下で液状の燃料。ほとんどは石油系のものである。石炭などの固体燃料、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、水素などの気体燃料に比べて使い勝手がよい。石油系液体燃料を沸点の低いものから列記すると、航空ガソリン(沸点30~170℃)、自動車用ガソリン(沸点30~200℃)、ジェット燃料(航空タービン燃料油、沸点145~300℃)、灯油(沸点145~300℃)、軽油(沸点170~370℃)、重油(おもに常圧残油)となる。
航空ガソリンはおもに軽飛行機やヘリコプター用であり、高オクタン価を達成するために加鉛している(テトラエチル鉛を加える)。自動車用ガソリンではアンチノック性を示すオクタン価がもっとも重要となる。レギュラーガソリンおよびプレミアムガソリンのオクタン価はそれぞれ90~91および98~100である。ジェット燃料は灯油と類似のものであるが、これにガソリンと同じ沸点の燃料油を加え沸点範囲を広くしたものもある。灯油はおもに暖房・厨房(ちゅうぼう)用など民生用である。軽油はおもに高速ディーゼルエンジン用燃料として用いられている。重油はボイラー用、窯業炉用、小型船舶ディーゼルエンジン用などの燃料として用いられている。
石油資源枯渇の対応策の一つとして、石炭、オイルサンド、オイルシェールから石油代替燃料を製造する試みが行われており、一部は実用化されている。しかし、石油以外から製造されている燃料油は量的にはきわめて少ない。天然ガスからはメタノール(メチルアルコール)、ジメチルエーテルだけでなく、ガソリン、灯油、軽油を製造することはできるが、経済性は低い。
地球温暖化対策として、バイオ燃料(バイオマス由来燃料)の製造については多くの研究が行われており、一部は実用化されている。しかし、原料を糖、デンプンや植物性油脂に求める場合、食糧自給率の低い日本では現実的でない。建築廃材、間伐材や製材所端材から得られるセルロースをエタノール(エチルアルコール)に変換し、ガソリンに混合して用いることはできるが、技術的課題は多い。薪(まき)の時代に比べてはるかに多量の燃料を用いている現在において、石油に伍(ご)する量を製造することは不可能である。
[難波征太郎]
『石油学会編『石油精製プロセス』(1998・講談社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…(1)燃焼したときの発熱量が大きいこと,(2)着火,消火,運搬,貯蔵などの取扱いが容易であること,(3)安全で無害であること,(4)生産量が多く,安定した供給ができ,安価であること。 燃料は常温・常圧における状態によって,気体燃料,液体燃料,固体燃料に分けられる。また用途によって一般燃料と,ロケット燃料や核燃料のような特殊燃料に分けることもできる。…
※「液体燃料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新