チャイナ・プラス・ワン(読み)ちゃいなぷらすわん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャイナ・プラス・ワン」の意味・わかりやすい解説

チャイナ・プラス・ワン
ちゃいなぷらすわん

繊維、電気部品、自動車部品などの製造業が、中国のみに工場を構えるリスクを回避するため、他のアジアの国に製造拠点を展開すること。1990年代の円高進展時に、それまでは台湾マレーシアフィリピンなどに生産拠点を展開してきた企業も、深圳(しんせん)など中国沿岸部に移転し、量産展開を中国へ集中させていった。しかし、2010年(平成22)に発生した尖閣(せんかく)諸島中国漁船衝突事件を機に、中国で日系企業に対する襲撃事件などが頻発日中の政治情勢により生産活動が中断するリスクが高まった。また、中国沿岸部の人件費上昇に伴い中国における生産メリットが減退、さらに元の相場の切上げに伴い、輸出拠点としての魅力も減じつつある。こうしたことから、多くの企業がチャイナ・プラス・ワンの動きを加速させた。

 プラス・ワンの国としてもっとも注目されたのが、親日で知られるタイであるが、2011年夏から秋にかけて大規模な洪水被害が発生。プラス・ワンの生産拠点を1国に絞らず、複数国に分散する必要性が指摘されるようになった。繊維関係ではバングラデシュカンボジアミャンマーなどが人気を集めている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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