日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツリスドリ」の意味・わかりやすい解説
ツリスドリ
つりすどり
oropendola
鳥綱スズメ目ムクドリモドキ科のなかの熱帯性の2属に含まれる鳥の総称。別名オロペンドラともいい、オオツリスドリ属Psarocolius12種とツリスドリ属Cacicus10種を含む。中央アメリカから南アメリカの新熱帯区に分布する中形の鳥で、全長35~55センチメートル。ムクドリモドキ科Icteridaeは新世界で著しく多様化した大きいグループであるが、そのなかでももっとも色彩豊かな鳥である。森林の縁とか二次林に多く、コーヒー園などにとくに多い。大部分の種が果実食である。1本の木に多数の鳥が群がり、コロニーをつくって繁殖する。巣は手提げ籠(かご)のような形で、植物性繊維を編んでつくられ、1、2メートルの長さになり、木の枝から垂れ下がっている。一つのコロニーに100以上の巣が垂れていることもある。繁殖期以外も群れで過ごしている。もっとも広く分布している種はカンムリオオツリスドリP. decumarusで、全身が黒っぽいが、後半身は茶褐色、尾羽の外縁は黄色で、青い虹彩(こうさい)、黄色い大きい嘴(くちばし)、冠羽をもつ。一夫多妻である。
[中村登流]