知恵蔵 「ティム・クック」の解説
ティム・クック
米IBM社のPCロジスティックス部門に12年間勤務し、その後、米コンパック社(現ヒューレット・パッカード社)の役員を経て、98年にワールドワイドオペレーション担当シニアバイスプレジデントとしてアップル社に入社。物流を合理化するロジスティックスに革新をもたらしたことで、当時低迷していたアップル社の復興に貢献した。05年にはCOOへと昇進し、経営の実務を任された。ジョブズが医療休暇で不在の間はCEO代理も務めたが、当時の新製品である「iPhone 3GS」のリリースや、「iPod」「MacBook」「Mac OS」を完成させ、2四半期連続で業績を上げるなどの手腕を発揮し、取締役会の報酬決定委員会によって破格の特別ボーナスを支給されている。なお、今回のCEO就任に際しては、ジョブズによる強い推薦があった。
ジョブズとは対照的に腰が低く、誰にでも丁寧に応対する紳士的な人物だが、仕事に対する粘り強さはジョブズと変わらないと言われている。また、仕事一筋で、朝早くから夜遅くまで働くが、自転車やウェイトリフティングで体を鍛えるなど健康面にも気を配っている。
ジョブズからも信頼され、すでにその経営手腕も認められている同氏だが、カリスマ的存在であったジョブズの下、常に注目される商品を展開してきたアップル社を、今後どのように引き継いでいくかが期待される。
(横田一輝 ICTディレクター / 2011年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報