改訂新版 世界大百科事典 「ティランドシア」の意味・わかりやすい解説
ティランドシア
Tillandsia
パイナップル科の常緑多年草で,アメリカ南部~中南米の亜熱帯~熱帯地域に400種以上が分布する。生育地は高温多湿な地域だけでなく,低温になる山岳地帯や乾燥地帯にも生育し,地上生のものから着生のものまで,その生活型もさまざまである。最近多くの種類が日本に導入されており,壁面を飾るなど,緑のインテリアとして有望だが,まだあまり普及していない。日本で栽培される代表的種には次のようなものがある。ハナアナナスT.cyanea Lind.ex K.Kochはエクアドルの標高600~1000m地域に生育している。昭和の初めに渡来した。花穂は長さ10~15cmの扁平長楕円形で,苞は淡紅紫色,花は青紫色で美しい。日照不足だと苞は十分に着色しない。この属にはティランドシア・イオナンタT.ionantha Planch.,ティランドシア・ストリクタT.stricta Soland.ex Simsなど,小型で花の美しい種類も多い。北アメリカ南東部から南アメリカに分布するサルオガセモドキは典型的な着生植物だが,花は小さい。
執筆者:高林 成年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報