日本大百科全書(ニッポニカ) 「乾燥地帯」の意味・わかりやすい解説
乾燥地帯
かんそうちたい
水分の欠乏のため樹木の生育が妨げられている気候地帯。乾燥地帯は年々の変動があり、固定したものではない。過去の気候変動によっても乾燥地帯の分布は変化した。また人間の活動、とくに森林の大規模な伐採、焼畑、過放牧などにより、現在でも年々乾燥地帯は急速に拡大している。地球上の陸地の約3分の1の部分が乾燥地帯である。緯度20~40度にわたり、所々に切れ目のある2本のベルト状に地球を取り巻いている乾燥地帯が亜熱帯乾燥地帯である。各大陸の西岸から広がるこの乾燥地帯の分布状態は、地表面の特徴、とりわけ海岸線の形状、海流や、海流のなかでも鉛直方向に上昇する湧昇流(ゆうしょうりゅう)、陸上の山脈の高度と走向などによって影響される。大陸別にみると乾燥地帯の割合は、オーストラリア80%、アフリカ64%、アジア39%にも達し、南北アメリカにも広い乾燥地帯が分布する。最大の乾燥地帯は北アフリカからアジアにかけて広がり、東西5200キロメートル、面積907万平方キロメートルのサハラ砂漠をはじめとして、アラビア砂漠、トルキスタン砂漠、タクラマカン砂漠(タクリマカン砂漠)、タール砂漠などがある。北アメリカではアメリカ合衆国南西部からメキシコ北西部にかけて130万平方キロメートルの乾燥地帯が大盆地、モハーベ、ソノラ、チワワの各地区に広がる。南アメリカではアタカマ砂漠、ペルーの海岸砂漠、パタゴニア砂漠がある。南アフリカではカラハリ砂漠、ナミブ砂漠がある。オーストラリアでは砂漠地域が全面積の44%を占め、グレート・サンディー砂漠やグレート・ビクトリア砂漠などがある。
[深石一夫]