化学辞典 第2版 の解説
テトラオキソバナジン(Ⅴ)酸塩
テトラオキソバナジンサンエン
tetraoxovanadate(Ⅴ)
バナジン酸塩のうち,MⅠ3VⅤ O4型の,いわゆるオルトバナジン酸塩のこと.バナジン酸塩では,Ⅴは普通,4個のO原子を正四面体型に配置するが,多くは隣接するVO4とO原子を共有して重合している.しかし,強アルカリ性水溶液ではVO43-が存在し,これを固化させたM3VO4型塩も存在する.V2O5をNa,Kなどの炭酸塩を共融するか,濃アルカリ水溶液で処理するとアルカリ金属塩が得られる.Na3VO4はNa3PO4と同型で,正四面体型のVO43-を含む.Ca3(VO4)2はりょう面体晶系で,VO4のV-O約1.69 Å.MVO4(M = Y,Nd,SM,Euなど)は正四面体型のVO4を含むジルコン型構造.なお,天然に産出するカルノー石は,組成はK(UO2)(VO4)・1.5H2Oであるが,正方すい型VO5の一辺の2個のO原子共有によるV2O8を含むので,構造が異なる.[CAS 14333-18-7:[VⅤO4]3-]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報