一般式MⅠ2CO3の正塩のほか,炭酸水素塩(いわゆる酸性塩),炭酸水酸化物塩(いわゆる塩基性塩)が知られている.製法は,
(1)水の存在下で,金属の酸化物または水酸化物に二酸化炭素を作用させる,
(2)可溶性の金属塩と可溶性の炭酸塩または炭酸水素塩とを複分解する,
(3)炭酸水素塩を適当な温度で分解する,
などがある.重金属の場合は,多くの場合,正塩ができずに塩基性塩を生じる.多くは平面正三角形型のCO32-を含むイオン結晶である.酸により分解されて二酸化炭素を放出する.アルカリ金属塩以外の塩は水に不溶で,固体を加熱すれば分解して二酸化炭素を放出し,酸化物となる.アルカリ金属塩は加熱しても分解せずに融解する.リチウム塩以外は水に可溶で,水溶液は加水分解してアルカリ性を呈する.アルカリ土類金属塩は二酸化炭素を含む水に炭酸水素塩となって溶解する.イットリウム族希土類,トリウム,ウランなどの塩は,過剰の炭酸アルカリ水溶液に溶けてカルボナト錯イオンを生成する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
炭酸H2CO3の塩で、正塩MI2CO3、酸性塩(炭酸水素塩)MIHCO3、塩基性塩MI2CO3・nMIOHがある。金属酸化物または水酸化物と二酸化炭素とを水の存在下で反応させてつくる。また、可溶性炭酸塩または炭酸水素塩と他の金属塩との複分解によって得られる。炭酸水素塩の熱分解によって得られるものもある。正塩は、リチウムを除くアルカリ金属塩は水に易溶、アルカリ性を示すが、その他の金属塩は難溶である。アルカリ土類金属塩は二酸化炭素を含む水に炭酸水素塩を生じて溶ける。
CaCO3+CO2+H2O→Ca2++2HCO3-
アルカリ金属塩以外は熱すると二酸化炭素を放って酸化物を生じる。酸によって分解され、その酸の塩となる。遷移金属の塩は多くが塩基性塩をつくりやすい。
[守永健一・中原勝儼]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… H2CO3=H2O+CO2 (K″=2.57×10-3mol/dm3) 液相中における炭酸と二酸化炭素との平衡は比較的遅く進行する。
[炭酸塩]
多くの炭酸塩が知られており,一般に,金属の酸化物あるいは水酸化物に二酸化炭素を反応させるか,所要の金属塩水溶液に炭酸アルカリないしは炭酸水素アルカリ水溶液を反応させてつくられる。遷移金属の塩は多く着色しているが,それ以外の塩はすべて無色である。…
※「炭酸塩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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