日本大百科全書(ニッポニカ) 「デサナ」の意味・わかりやすい解説
デサナ
でさな
Desana
南アメリカ、コロンビア東部とブラジルのアマゾナス州にまたがる熱帯林に住む先住民集団。人口は約3500人(1992)。アマゾン川の支流バウペス川のまた支流であるパプリ川流域に住んでいる。言語はトゥカノ語族のデサナ語。デサナという名称は外部から与えられたもので、自称はウィラ(風)またはウィラポナ(風の子供たち)。バウペス川流域に住む約20の東トゥカノ系先住民諸集団は、文化的に非常に似通っており、有毒マニオクや料理用バナナを主作物とする焼畑耕作に狩猟と漁労を組み合わせた生業形態をもつ。それぞれの集団は固有の言語を話し、また父系出自と夫方居住に基づく外婚単位となっている。デサナはとくにトゥカノおよびピラタプヤの2集団と姉妹交換を通じて緊密な社会関係を保っている。複数の核家族が住む共同住宅(マロカ)に住む。人間界と自然界のバランスを基本とする豊かな観念世界をもっていることで有名である。
[木村秀雄]