改訂新版 世界大百科事典 「ドリナ川」の意味・わかりやすい解説
ドリナ[川]
Drina
バルカン半島北西部を流れるサバ川の最も長い支流。南から北に流れ,全長346km。モンテネグロのピバ川とタラ川に源を発し,セルビアとボスニア・ヘルツェゴビナの国境をなして北流,セルビアのボイボディナ自治州のスレムスカ・ラチャでサバ川と合流する。ドリナ川の支流としてはリム川,スーチェスカ川,プラチャ川,ヤーニャ川などがある。流れが速いため,各地に水力発電所がある。ドリナ川流域地方は第1次世界大戦当初の1914年9~11月,オーストリア軍とセルビア軍が激烈な戦いを繰り返した場所であるし,第2次世界大戦に際しては,枢軸軍に対するパルチザン闘争の主要な舞台にもなった。また,ボスニアのノーベル賞作家アンドリッチの作品《ドリナの橋》は,ドリナ川中流の町ビシェグラードの500年にもわたる歴史を,この川にかかる橋を中心に書きつづった小説として有名である。
執筆者:柴 宜弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報