改訂新版 世界大百科事典 「ニカエア」の意味・わかりやすい解説
ニカエア
Nicaea
トルコ西部,イスタンブールの南東約150kmにあるビテュニアの古代都市。ギリシア語名ニカイアNikaia。現在のトルコ名はイズニク。イズニク湖(古代名アスカニアAscania)に臨む。325年と787年の2回のニカエア公会議の開催地として有名である。
城門や塔を備えた町を取り巻くビザンティン時代の城壁は部分的に保存状態はよいが,かつての建造物の多くは廃虚となっている。前316年ころマケドニアのアンティゴノス1世が創設したアンティゴニアAntigoniaが,前288年にリュシマコスにより拡大され,彼の妻の名を取ってニカイアと命名された。122年の地震後ハドリアヌス帝が再建,256年のゴート人の侵入で町は一時荒らされた。1081年にルーム・セルジューク朝のスライマンにより占領されたが,1097年にキリスト教徒の手に戻された。1204-61年,テオドロス1世の建てたニカイア王国(ニカエア王国)の首都として繁栄した。
執筆者:長塚 安司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報