化学辞典 第2版 「ネマチック液晶」の解説
ネマチック液晶
ネマチックエキショウ
nematic liquid crystal
棒状分子の長軸が一定の方向に配向しているが,スメクチック液晶とは異なり,層を形成しておらず,分子重心位置に規則性がない液晶.液晶のなかでも規則性の悪いものである.それぞれの分子は長軸方向に動きやすいので粘性が小さく,流動性に富んでいる.アゾ,アゾキシ,アゾメチン,ビフェニル,フェニルシクロヘキサン,エステル,ピリミジン化合物などがネマチック液晶になる.たとえば,p-アゾキシアニソール,メトキシ(ブチル)アゾキシベンゼン,p-メトキシベンジリデン-p-ブチルアニリンなどである.液晶セルに使われるガラス基板表面が及ぼす力で配向を制御することが可能であり,また電場や磁場によって配向を変化させることもできる.これらの特徴のため,ディスプレイ装置などに広く使われている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報