ノースウェストケープ基地(読み)ノースウェストケープきち(その他表記)North-West Cape Station

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ノースウェストケープ基地
ノースウェストケープきち
North-West Cape Station

オーストラリアにあるアメリカ海軍通信基地。ノースウェストケープはウェスタンオーストラリア州の北西部に位置する岬で,インド洋に面し,いずれの主要都市からも隔絶されている。軍事施設の建設は米豪同盟関係の緊密化を象徴するもので,1963年5月の米豪協定によってアメリカ合衆国に貸与された。アメリカはこれ以外にもパインギャップとナランガーに大規模な衛星通信施設をもっており,アメリカの世界戦略を遂行するうえでオーストラリアの三大通信施設は重要な役割をもつ。ノースウェストケープの目的は,インド洋を巡航する核ミサイル搭載原子力潜水艦とアメリカ本土との交信を中継することであり,第4次中東戦争(→十月戦争)や湾岸戦争でもその機能は高く評価された。冷戦時代にはオーストラリアが核戦争に巻き込まれる危険があるとして,労働党左派や市民団体が反対したことがあるが,1983年に登場したホーク労働党政権と,1991年のキーティング労働党政権はいずれもアメリカ軍通信施設の存在を是認する立場を示した。

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