化学辞典 第2版 「バナナ結合」の解説
バナナ結合
バナナケツゴウ
banana bonding
【Ⅰ】多重結合で,sp混成軌道で互いに結合した場合,そのσ,π結合軌道を合わせて,たとえばC2H4では図(a)のように図示することがある.この曲がった結合軌道を,形からバナナ結合という.なお,B2H6のB-B間のB-H-B三中心結合なども,その形からバナナ結合ということもある.【Ⅱ】たわみ結合(bend bond)ともいう.たとえば,cyclo-C3H6では,幾何学的には∠C-C-Cは60°であるが,混成軌道では90°より小さくはなりえない.さらに,計算上,この場合の結合角は90°より大きい.したがって,この場合,C-C間の結合軌道は図(b)のようにC-C間で膨らみをもった形となる.このような結合をバナナ結合という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報