3個の原子が原子価結合(共有結合、配位結合)あるいは水素結合で連結されているとき、それぞれの結合軸(原子間を結ぶ直線)のつくる角度をいう。原子価角といわれることもある。結合の種類、結合に関与する原子あるいは原子団、近隣の原子あるいは原子団の影響によっていくらか変化するが、結合に用いられる電子軌道の種類に従ってほぼ一定の値となることが多い。たとえば、sp3混成軌道を用いるメタンCH4の炭素原子については、どのC-H結合2本の組合せでも結合角は109.5度(正四面体角)となる。また、四塩化炭素CCl4の結合角も同じになるが、クロロホルムCHCl3の2本のC-Cl結合角は110.4度となる。
[岩本振武]
原子価角ともいう.主として共有結合からなる分子または錯イオンのなかで,1個の原子より出ている二つの結合の間の角度.原子間距離と同様,回折法またはスペクトル法によって決定できる.結合角は主としてその原子の結合軌道の混成状態によって決まるが,いろいろな二次的相互作用によって影響されやすい.たとえば,ベンゼン中の炭素は,sp2混成軌道をつくるためC-C-Cの角度は120°であるが,置換基が入るとこの角度は数度変化する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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